日本の税制は、申告納税制で、納税者は自分で所得金額や納税額を計算して申告することになっていますから、その申告に問題がないのかどうかをチェックするために、税務調査が行なわれるわけです。問題がないとすると、申告がそのまま認められますが、誤りがあるというときには「更正」や「決定」ということになります。
更正というのは、税務署が職権で申告所得額や税額の修正をすることです。
決定というのは、申告書を提出する義務のある者が申告書を提出しなかった場合、調査によって課税価格税額を決めることです。
ところが、この更正や決定が、1 0年も20年も前までさかのぼって処分できるとすると、あまりに古いことを掘り返すことになり、申告に関連する帳簿書類などを紛失していたり、わからなくている事項がでてくる恐れもあります。
そのため、どこまでさかのぼるかの制限期間が「更正・決定の排除期間」として決められています。
2012 年 の過去の記事
いつまでさかのぼって税務調査させるか?
2012 年 9 月 1 日 土曜日どんな業種が調査対象となりやすいか?
2012 年 9 月 1 日 土曜日売上規模が大きいほど、1回の調査で発見される脱税額も相対的に大きいものですから、売上の大きな会社のほうが税務調査の対象になりやすいというのは避けられません。そこで、税務署は、売上規模に応じて安向階級」「中階級」「低階級」と3つに分け、高階級を重点的に調査します。
しかし、売上高が少ないからといって、税務調査の対象から外されるとは限りません。法定調書や、税務署などが独自に集めた資料、あるいはタレ込みなどの情報によって、不正の疑いがあるということになると当然調査が入ります。
ただ、税務調査の一般的な状況からみると、売上高が小さく、しかも従業員が数人といったような会社で、期限内にきちんと申告し、顧問税理士がいるようなところには、あまり調査が入らないという傾向にあるようです。これに対して、売上高が大きいというだけで、3年から5年に1回、定期的に実地調査が行なわれている会社もあります。
なお、次ページのような不正発見率の高い業種や、問題が多いとマークされる法人については、1、2年に1度ぐらいの割合で調査が行なわれることになります。
税務調査は何を調べるのか?~どの税目の調査かを確認する~
2012 年 9 月 1 日 土曜日税務署は「法人課税部門」、「個人課税部門」、さらに「資産課税部門」の部門制をとっていますが、それら部門ごとに税務調査の調査範囲があります。
法人課税部門では、法人税・源泉所得税・消費税などの各税目、個人課税部門では、所得税・消費税、資産課税部門では相続税、贈与税、譲渡所得税などの各税目が調査範囲となりますので、それぞれの税金の目的に応じて、税務調査が行なわれることになります。つまり、調査官は、調査する税目の帳簿書類の検査権限が与えられています。
たとえば、法人税では、帳簿書類その他の物件が調査されます。帳簿書類をはじめ、事業に関するいっさいの物件、具体的には、総勘定元帳、売上帳などの帳簿類や、決算関係の書類、領収書などの証愚書類、あるいは株主総会の議事録までに及びます。
消費税や源泉所得税、印紙税については、事業に関する帳簿書類と、業務に関する帳簿書類に限定されています。つまり、税目それぞれに帳簿調査が異なりますから、帳簿書類の提出が求められたら、どの税目の調査なのかを確認し、その調査に関するものを提出すればよいのです。